EMIT-Japan WebCT レター

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【WebCT活用事例】 玉川大学 照屋さゆり先生

今回のWebCT活用事例は、玉川大学文学部リベラルアーツ学科の照屋先生をご紹介させて頂きます。
今回のテーマは、「CMSツールの比較」です。照屋先生は、Learning Space(以下LSと略します)とBlackboard(以下Bbと略します)、そしてWebCTを全て利用された経験をお持ちで、それぞれのツールの特徴をよくご存知です。多くの先生方にとって、複数のツールをじっくりと使われるという機会は少ないかと思いますので、CMSツール比較というのは大変貴重な経験かと思います。今回はそれぞれのツールの良い点、困る点についてお話頂きました。

照屋先生のいらっしゃる玉川大学は、e-learningに対する取り組みが日本国内では大変進んでおり、玉川学園女子短期大学では1997年に北米で発売されたLSを、日本でいち早く導入されました。
そもそも、玉川大学には12の教育理念があり、その中の11番目に“24時間の教育”というものが掲げられております。「昔は先生と生徒が寝食を共にして勉学に励んでいた。また、国際教育についても、昔は実際に外国に行って学んでいた。これを現代に置き換えるとITを利用したe-learningということになる」とおっしゃいます。
そして、玉川学園全体として、世界に広がる教育を目指し「グローバルTamagawa」をコンセプトに10年計画による様々なプロジェクトが実施されています。
また驚くことに、ITの活用に関しては玉川学園全体で小学校が一番進んでおり、見学するなら小学部というくらいの状況だそうです。小学生の頃から遠足にMacのノートPCを持参して、遠足の様子をディジタル日記にしてWebにアップするほどだとか。(私の小学校時代とは大きな違いです。^^;)

ここ最近になって教育工学会などでもe-learningということが非常によく言われていますが、 「2000年に教育工学会でe-learningについて発表したが、当時はまだe-learningに対しほとんど興味を示されなかった」とおっしゃることからも、照屋先生らの取り組みの先進性がうかがえます。なお、照屋先生らの取り組みについての詳しい内容は、「ICTを活用した大学授業」の本に詳しく紹介されております。

玉川大学で、LSからの他のCMSシステムに移行を検討されるようになったきっかけは、LS自体の開発が終了し、その後継版としてLMSというシステムがあったものの、企業社員教育のe-learningのシェアが大きく、学校向きではなく、学校側から出した希望が採用されなかったなど、LSと後継であるLMSとの間に大きなギャップがあり、このシリーズの継続を断念されたとのことでした。
 また、それ以前から北米の高等教育のレポートで、LSの後継として、WebCTとBbが台頭しているとの報告があり、WebCTとBbがLSのシェアを越えたあたりからリサーチされていたそうです。
そして、USのWebCTとBbの体験版を利用して、照屋先生個人としては、その時コンタクトがよかったWebCTを気に入り、ボストンで行なわれたユーザ会に参加なさって、昨年のCMSツールのパイロットプログラムとして、WebCTを1年間利用されたという経緯です。
 また、このようなCMSツールの自学での開発の可能性についてお尋ねしたところ、作った時はいいが、その後の維持が大変なので、自学での開発はしないとのことでした。

大学としては、昨年の4月からLSとBbとWebCTの3つのシステムをパイロットプログラムとして利用され、照屋先生自身はWebCTを希望されていましたが、残念ながら全体としてはBbが採用されることになりました。
 このことについて、照屋先生は、「今回玉川大学でCMSを導入した目的は、BbやWebCTという話ではなく、全学への普及を目的としていたため、とにかく簡単で、だれでも触れるシステムを選びたかった。WebCTが機能的なところで劣っているわけではない。」とおっしゃいます。
 また、「USでは、1つの大学が複数のシステムを使っている場合が珍しくないため、玉川大学の学長はWebCTとBbを両方入れてもいいとのことだったが、まだスタッフの体制がUSまで追いついておらず、管理する側が2つのシステムを管理するのは大変なので1つになった。」とのことでした。

WebCTの良いところとして、「細かい設定が可能なところ、例えば、あるチェックを通らないと次に進めないような機能。また、学生の課題を一括ダウンロードできるところが便利」とおっしゃいます。
 また、Bbのよいところとして、「HTMLを書かなくていい。WebCTにもHTMLエディタはあるが、講義のコース作りなど作り込む場合には、HTMLの知識が必要となる。また、外部へのメール送信が便利」とおっしゃいます。  WebCTやBb両者に共通するアメリカ系のソフトの問題として、「学生一覧の並びがややこしい。そのままでは成績表になりにくいので、学籍番号や、名前などで並べられるとよい。」とおっしゃいます。
しかし、国内ベンダー(富士通やNEC)製のCMSソフトを使われる気は毛頭お持ちでないようで、その理由として、世界中どこに行っても使えるものを使うというコンセプトのためという点を挙げられます。アメリカでもイギリスでも使えるグローバルスタンダードを使うというお考えをお持ちで、日本ベンダーは学長の頭に全くないとのことです。

LSとWebCT,Bbを比較して

WebCTやBbは、サーバーとのやりとりが多いので、ネットワーク回線の状態が悪いと更新が大変とのこと。LSはノーツを使っているのでオフライン作業が可能なところが大変便利だそうです。LSの後継のLMSにはその機能があったので期待されていたそうですが、コースをある程度作って一気にアップする方式のみで、以前のLSが持っていた差分をアップすることができなくなっていたようで、後継のLMSでも内容を変更する場合は、全てをアップする必要があるそうです。
「社会人向けの講義は日によって内容が変わらないが、学校教育は日々対応が異なる。学生の進み具合と反応によって授業の内容を微調整する必要がある。 資料が足りなければ追加するといった具合に、日に日に内容を変えていきたいけれど、常にネットワークに接続できる環境にはないので、それができない。北米は、基本料金だけでつなぎ放題なので、このような仕組みでもよいが、日本では、オフライン機能が大事。」とおっしゃいます。

Bbでお困りの点

Bbをご利用になってお困りの点をお聞きしました。
「学生のレポートを採点する時に評価やコメントを簡単に返信できない点。これはWebCTはできる。Bbには採点して返す機能がない。」とおっしゃいます。
Bbはレポート提出ボックスがあり、学生はどんどんそこに放り込む。先生の方は、学生が放り込んだ課題を採点して、またボックスにそのファイルを放り込む。そのままだと学生はいつ採点されて返ってくるのか分からないので、課題提出時に1週間以内に採点をして返すというようなルールを決めていき、学生はボックスを見に行くというやり方をなさっており不便を感じてらっしゃるようです。「他の先生方は皆さんそこまで使い込んでいないので、不便を感じていないのでは。」とおっしゃっていました。
 また、アンケート機能について、WebCTはある学生が回答項目A,B,Cのどれを選んだのかというデータを一括でダウンロードできる。Bbは、分かるのは集計した結果のパーセントのみ。誰がA回答なのか分からない。アンケートには色々とあって、割合だけ知りたいわけではないときがあり、例えば選択科目のアンケートなどをとる時に困る。しかし、今更、紙のアンケートには戻せないため、現在別ソフトを追加検討中とのことです。
 なお、LSとBb、LSとWebCTの比較についての詳しい内容は、今度のIT教育支援協議会第3回フォーラムにて、メディアセンター長が発表なさるとのことです。

以下は、次世代CMS研究会で照屋先生がご発表なさっていた、LS、Bb、WebCTそれぞれのツールの機能比較表です。

Bbの機能(次世代CMS研究会 照屋先生発表資料より抜粋)

     
  • 細かい設定ができない
  •  
  • 課題提出用のデジタルドロップボックスいれものという発想しかない
  •  
  • エッセイが500字しか書けない
  •  
  • 成績のエクスポートができない
    ⇒一言で言って、Bbは使い込まなければ使い方は簡単、しかし機能がない。

LSとWebCT

WebCTの良い点

LSの良い点

WebCTの困る点

LSの困る点

大学向け

オフライン可能

HTMLスキル必要

ビジネス向け?

コース設定多彩

課題のソート容易

操作性

ノーツが必要

分析機能優秀

.

.

発展望めず

(次世代CMS研究会 照屋先生発表資料より抜粋)

WebCTとBb

WebCTの良い点

Bbの良い点

WebCTの困る点

Bbの困る点

大学向け

外部メイルへ送信

HTMLスキル必要

機能管理が弱い

コース設定多彩

操作容易

操作性

ファイル管理弱い

分析機能優秀

ポータルへ

.

同時大量処理不可

大量同時処理可能

.

.

.

(次世代CMS研究会 照屋先生発表資料より抜粋)

先生は現在Bbをご利用になり、学生のレポートなどを一括ダウンロードし、ローカルで採点するといった、大量のファイル操作ができない点で特にお困りのようです。このように使い込まれる先生方にとってBbは多少物足りないところがあるようです。
WebCTは、LSとBb両者との比較において、操作性の点で難しいという点をご指摘頂きました。 この点については、現在FLASHを用いたマニュアルの作成、FAQの整備などにより、WebCTの操作に関する敷居を低くするよう努めております。

今後の発展ビジョン

照屋先生に今後のe-learningの発展についてお尋ねしました。
「もともと、日本はタイプライターの文化が遅れたためPCの普及がおくれてしまった。学習に関しても、自分で学習する文化がまだできていない。なんとなく学校に来て、先生の話をきいて終わりというスタイルがいまだに変わっていない。」と現状について述べられ、 今後は「人それぞれが学びたいことを獲得していく文化を創ることが必要。e-learning自体が目的ではないが、人それぞれが学びたいことを学んでいけるようになってほしい。このようなことを繰り返すことによって、学びたい人が学びたい時に学びたいことを学べるようにしなければならい。そもそも学び方を知らなければ学べないので、学び方を教えることが非常に重要。」とおっしゃいます。

また、自分の学んだことを記録しておき、振り返ることが必要ということで、大学で学んだ集大成というものを作るためのディジタルポートフォリオをお考えです。 コンピュータとネットワークを介して、学生が文献、引用をメモっていけるデータベースを構築中で、これを利用すれば、レポートを書く時など、過去に一度調べた内容を探すのが楽になる。ブラウザのお気に入りに登録するのもいいが、自分のマネージメントシステムの中で整理できるようにしたい。
そういうことをしていく習慣づけ、人材の育成が大切であり、CMSを使って学生が学びたい時に学べる、探したい時に探せる、整理したい時に整理できるようなシステムができていけばよいとおっしゃいます。
システムではバラバラでもよいので、どこに行けばディスカッションができるか、どこに行けば質問ができるのかという方法を知っていることが重要とおっしゃいます。
また、玉川大学のポータルも進んでおり、来年からスタートするとのことです。

照屋先生は、WebCTのVistaに大変ご興味をお持ちです。グローバル玉川の10年計画が終わる2006年には、CMSプラットフォームの見直しの時期にもあたるそうで、またWebCTのユーザーになって頂けるものと期待しております(^ー^)

大変お忙しい中、インタビューに応じて頂きました照屋先生に、この場を借りて御礼申し上げます。ご協力ありがとうございました。

文責:エミットジャパン 小村道昭
(2004年 12月)