EMIT-Japan WebCT レター

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【インタビュー特集】 追手門学院小学校 竹内 豊一先生

『道具というものは便利にもなるし不便にもなる、だから使う側が生徒に「思 いやり」「やさしさ」を感じる情報化教育をしていく必要がありますね。』と おっしゃる竹内先生は、ITツールによって、ある生徒との「ぬくもり」が感じ られ嬉しかったという体験をお持ちです。

【WebCT活用事例】に代えて
 主に大学の先生を中心にWebCTの活用をご紹介してきましたこのシリーズで すが、今回は小学校の先生の視点から見たITツールの活用ということで、追手 門学院小学校の竹内豊一先生にインタビューをお願いしました。今回はインタ ビュー形式でお届け致します。(インタビュアー エミットジャパン 足立)

小学校とIT

資源の少ない日本で唯一豊富であった資源は人材といわれています。知識があり、理解力がある多くの日本人が戦後日本の高度成長を支え、世界第2の経済大国になったのも、知恵を出し、汗水流して働いた国民がいたからこそ今日があると言われています。 その日本が今、教育問題で大きく揺れています。今回は教育の第一歩である小学校教育について、学校全体で情報化に取り組まれている追手門学院小学校の竹内豊一先生に、現在の情報化のための道具を使って授業をしておられる、ありのままの教室についてお話を伺いました。

足立:追手門学院小学校では今どんな情報化のための道具を教室で使われて教えておられますか?

竹内:2003年10月中ごろよりNTTドコモのシグマリオンVをPHS付で、40台ほど1年間お借りして、2004年3月まで、生徒が個人端末を持つことにより生徒がどのように学習するか先生と共に勉強して見ました。

足立:2001年10月に貴校を訪問した時に、先生方もサイボーズを使い、ぺーパレスな会議を導入され、また低学年からローマ字入力の学習をさせるなど、情報化には力をいれておられましたが、個人端末を生徒一人一人に持たせて、生徒が使っていくには、それなりの今までの準備が必要だったと思いますが、実際の学年別の授業はどのようになっているのですか?

竹内:情報の時間として、1年生から4年生まで週に1時間、

  • 1年生 基本操作
  • 2年生 お絵かき      GIMP を使って
  • 3年生 ローマ字入力    StarOffice を使って
  • 4年生 E-Learning の基本 WebCTを使って

 学習します。そして当校は5・6年からは選科となり、個別学習が中心となりますので、WebCTの基本知識を身に付けて、日常の授業で各学科を学習することにしています。

足立:2年生のお絵かきの授業風景をビデオで見せていただきましたが、専門用語も飛び出すなど、随分とすばらしいお絵かきが出来るのみならず、操作などもなれておられる風景を見て驚きました。

竹内:フォトショップのようなGIMP を使って、レイヤーを作ってその上に絵を差し替えていくことにより、いろんな物語を作るなど、子供達はそういう環境を作ってあげれば、ローマ字入力もそうですが、使い方を情報の先生が上手に指導してあげれば学習してドンドン力をつけていきますね。

足立:掲示板を使った授業では生徒が詩を書いて、それを掲示板に載せて随分活発に意見交換をしていますね?

竹内:そうですね、詩を書いて45分間にみんなで130通ぐらいのやりとりをし、また感想文も書いています。ローマ字入力など、そのための勉強だと「ローマ字地獄」だとか言って苦労した生徒も、感想を書きなさいと言って、書きたいという気持ちがあれば、がんばってはやくローマ字入力に慣れてくれますね。 「あいうえお」から始める小学校教育で、ローマ字入力を教えることは、本当に最初は大きな決断でしたが、この決断で学校の環境を整えることにより情報化のスタートが切れ、今後は如何にこの学習方法を普段の授業に持ち込むかという将来展望の実現に前進していきたいと思っています。

足立:でも、生徒さんだけでなく、学校全体で情報化を進めていかれたわけで、その辺のご苦労は如何でしたか?

竹内:もちろん、生徒に情報化の学習を指導する前に、まず教職員が慣れ親しまなければなりませんから、ご存知のように、サイボーズから始め、先生方にペーパレス会議をするところまで、みんなで努力し、また保護者にも学校行事や生徒に関する情報などをいち早く知ってもらう手段などを工夫し、正直言ってここまで来るには5〜6年はかかっています。 IT技術について、説明してもらって判った積りでも、こうなんだと肌身で判るにはやはり大変ですね。

足立:情報化社会になると、人間関係が希薄になっていくという人もいますが、先生はこの辺のことはどのように思われますか? また生徒を教える立場から教育の観点に立ってどのように感じておられますか?

竹内:そうですね、小学校の場合は大学とは違って、その場その場に応じた対応をしないといけない場面が多く、今日の授業を見て、どうも判っていないなと判断すればその場でテストをしないといけないとか、それに対応できる使いやすい道具が欲しいですね。
それと実際に現場で使っている者としては、道具というものは便利にもなるし不便にもなる、だから使う側が生徒に「思いやり」「やさしさ」を感じる情報化教育をしていく必要がありますね。今回の端末導入時に怪我をした生徒がいて、シグマリオンを使いメールでいろんなことの連絡や学校の様子を伝えたのですが、生徒にとって学校との距離が縮まったこと、そしてスケジュール管理を使って宿題を出してやれば、夜の9時ごろでも宿題をやっていることが判ったりして、その生徒との「ぬくもり」が感じられ嬉しかったですね。
情報教育は何故しているかと言うと、技術ではなくてそれを使いこなすことを教える、これが小学校から始める教育に必要なのであり、「思いやり」の気持ちを持って掲示板に書いたことには責任を持つなど、「やさしさ」のある態度で道具を扱う、 これが情報化社会の時代に必要な人材で、こういう人材になるための経験を 軟らかい対応力のある小学生の時に教えておく必要があるのではないかと思っています。

足立:そうですね、このあたりをしっかりとすれば、人間関係が希薄になっていくなどと言うことはなくなるのでしょうね。

竹内:メールの導入でも正しく使えば距離感は縮まるし、一歩間違えば、いじめとかが起こる恐れあり、現場を預かっている者としては、こういう心配が先立つのですが、これを乗り越えていかないといけないでしょうね。

足立:しかし、メールでの文字でのやりとりは、会話と違って子供達は表現をうまく使ってやりとりをしているのでしょうか?

竹内:子供なりに表現はうまくやっていますよ。絵文字に頼ることなしに。グループ討議で見てもらったように、10歳の子供達が大人顔負けにみんなで自由闊達に意見交換し、教えている訳でもないのに、「へえー へえー」とか「で、で、でも僕は・・・」などうまい表現で使いこなしているし、新年の挨拶として、掲示板に載せさせたらPHSつきのシグマリオンで家から大晦日のK-1についても触れて、ほんとに上手に挨拶を書いていますよ。

足立:生徒達は情報化時代のこの道具をどのように上手に使っているか他に例はありますか? たとえば、学習している時に判らないことがあると、リンクという機能で調べることが出来るのですが、もう使い方を知っており、また使っていますか?

竹内:生徒は一度教えるとドンドン利用しています。読んだ本の意味を説明している、その言葉が判らない時に、リンクの張ってある教材もあり、例えば「ごん狐」の物語で「はりきり」とか「旗ざお」という言葉が出てくるのですが、リンクで見に行くと写真まで出ていて、一目瞭然に理解していきます。また、語学教育では自分で発音したものを聞いて直していくとか、またデスクトップミュージックで音符を並べたら音が出てきて曲が作れるとか、コンテンツがドンドン増えてくれば、学習スピードは速くなり、教育はドンドン変わり、進歩していくでしょうね。それだけ今の子供達は大変なわけで、余計に正しい・人にやさしい使い方を教えないといけない時代になりますね。

足立:そうすると、やはりコンテンツが益々大切になってきますね。

竹内:そうですね、先般SUNのERCで京都大学の美濃先生のお話を聞いて思った のですが、日本には日本独自の文化があり、日本の教育にあった学習は繰り返し 学習であり、特に暗記物・理科算数は紙の上でやるよりも効果があるだろうし、 こういったコンテンツをちゃんと用意してあげればいいのだろうと思いますね。 それと、これは理由がはっきりとは判らないのですが、紙で問題を出されたものに対する答えが間違っていた時に指摘した時よりも、入力して間違ったことに対して間違いを指摘した時の方が受け止め方が良くて、なにか短い時間に集中して学習できているようなのですね。

小学校低学年から情報に関する教育に熱心な追手門学院小学校さんで、順を追って教育されている成果がWebCTの日常の授業への活用で大きく花咲くことを願って、インタビューを終りたいと思います。長時間に渡って、ご協力いただきありがとうございました。 大学関係の読者が多いこのコラムで、より進んだ情報化された小学校教育の授業のお話がどこかで役に立って呉れればと願っています。

文責:足立 昇
(2005年 2月)