EMIT-Japan WebCT レター

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【CIO's Metric】「大学ポータル」はパンドラの箱か?!

今,まさにはまっているのですが,この2月から「名古屋大学ポータル Version 2」が稼働します.今回は,教員による成績入力の Web 化や,学生の 履修登録の Web 化も名古屋大学ポータルを通じて行われるため,とても重要 な仕事です.

このため,昨秋から,高負荷用で負荷対策も可能な機器の選定・調達からはじま り,ハードウェア機器セットアップ,ソフトウェアインストール・設定,プロ グラム開発・デバッグ,Webデザイン,負荷試験,パフォーマンスチューニン グなどなど,ありとあらゆることに関わって,相当の部分を自ら手を下しなが ら推進しています.
しかも, 「すべての情報・サービスの入り口」というポータルの性格上,関わ る方々も広範囲にわたっており,推進側の方々との会議は多くなるし,ちょっ とした設定ミスが及ぼす影響の範囲も広がり苦情が殺到...
ああ〜,やはり,大学ポータルはパンドラの箱なのでしょうか...
まあ,そうは思いたくないので,自分を元気づけるためにも「原点」を再認識 したいという思いもあり,今回は(今回も,,,f^_^;)過去の遺作を掘り起こさ せて頂くことにしました.
ご堪能ください:-)

次世代情報基盤としての名古屋大学ポータル

私が所属する名古屋大学情報連携基盤センターの情報基盤システムデザイン研 究部門は,(1)情報基盤システムのアーキテクチャデザインの研究と(2) 大規模情報基盤システムの研究開発を研究の柱として,名古屋大学の情報戦略 の企画・立案・実施に積極的に貢献しつつ,学内外のユーザに対して情報基盤 サービスを提供することを目的とする部門です.
 「情報基盤システムのアーキテクチャをデザインする」と言っても,情報のや り取りの媒体であるコンピュータネットワークを設計することが主目的ではあ りません.もちろん,コンピュータネットワーク抜きには語れませんが,「コ ンピュータネットワークによって作られる電脳空間において我々人間が快適に 活動するためにはどのような情報基盤システムを構築すべきかを考え,設計し, 実現するか?」が,私たちに課されている命題です.
 建築家は,我々人間が日々生活している実世界空間において,古い建物や他の 建物との調和を図りながら,便利さ・快適さを追及し,安全で安心した生活が できる建築物をデザインします.これと同じように,電脳空間においても他の 情報システムやレガシー(古い)アプリケーションシステムとの調和が図られ るとともに,安全で安心した生活ができる情報基盤システムをデザインするこ とが必要性になってきています.
 情報システムはその技術的レベルの高さよりも,実際に使う人に対してどれだ け配慮がなされているか,便利に使えるかがとても大切になります.私たちは, 名古屋大学という巨大な知的集合体の中で日々教育研究活動に邁進している学 生,教職員などの構成員にとって,安全で快適な教育研究活動ができる情報基 盤システムの設計・実現を目指しています.
 この意味において,私たちは電脳空間における建築家,つまり,「情報アーキ テクト(建築家)」であると思っています. その具体的な取り組みとして, センターの大学ポータル専門委員会を中心に「名古屋大学情報ポータル」の構 築を実験的に行ってきました.
 名古屋大学情報ポータルは,学内に散在する情報システム・情報資源を集約し, 情報チャネルという細かい単位でユーザに提供することで,ユーザごとに適切 な情報を提供することを目指しています.また,名古屋大学ポータルは単なる 情報へのアクセスのポイントとなるだけでなく,学部,学科,研究室,教室, 研究グループ,部活・サークル,講義など各人が所属する様々な学内コミュニ ティにおける他のメンバとのコラボレーションを促進する場としても機能する と考えています.
 2005年からは,これまでの実験成果をもとに次世代の名古屋大学情報ポータル を稼働させ,正式運用を開始する.特に,すでに正式運用を行っている全学ID ディレクトリサービスを用いて個人化された情報サービスをポータル経由で提 供するとともに,成績投入や履修登録など高負荷が想定される情報サービスも 提供できるよう,負荷分散装置,複数台のクラスタ型Webサーバ・データベース サーバを導入し,スケーラビリティのあるアーキテクチャを持つシステムとな ります.そして,成績投入・履修登録などの教務サービスだけでなく, WebCT(Web Course Tools, http://www.webct.jp/)によるコース管理サービス, 電子図書サービスなど,学内で提供される各種情報サービスをポータル経由で サービスを提供することにより,セキュリティ対策を名古屋大学情報ポータル で一元的に行います.さらには,学内の広報用Webサーバや各種情報サービスと の資源の共用化を進め,設備・運用・保守費用面での冗長な情報投資の抑制を 図ることもできます.このような流れの中で,各種情報サービスが名古屋大学 情報ポータルに一元化されることにより,閲覧デバイスの多様化にも対応でき, その結果として学内各種情報システムへのアクセス性の改善が進むと考えてい ます.
 国立大学は法人化され,今後,運営交付金は毎年配分額が少しずつ減らされま す.これを乗り切る妙案は,全学レベルでの情報戦略に基づいた情報技術の導 入による業務の効率化と費用対効果を考慮した情報投資の効率化しかないよう に思っています.
 名古屋大学においては,その中心的な取り組みが名古屋大学情報ポータルです:-)

(注: 本稿は,名古屋大学図書館報「館燈(かんとう)」 No.153 に投稿した 「次世代情報基盤としての名古屋大学ポータル」に加筆し修正したものです.
オンライン版は http://www.nul.nagoya-u.ac.jp/koho/kanto/からご覧いただけます)

文責: 梶田将司 株式会社エミットジャパン代表取締役/名古屋大学情報連携基盤センター
(2005年 2月)