EMIT-Japan WebCT レター

  • 登録・解除
  • プライバシーポリシー

WebCT活用事例 - 広島大学

第2回目のWebCTユーザー事例紹介は、広島大学大学院社会科学研究科の安武公一先生にインタビューをお願いしました。 使ってみたいと思われたきっかけは、まず自分が楽になりたいということ。 とは言っても講義の質を落とすのはなく、無駄な作業を減らすことによって自分が楽になる。 実際、WebCTを導入された後、講義に関するルーティーンワークが格段に減ってきたとおっしゃいます。
(中略)
そして、なんと言っても私が最も感心させられたのは、今までのお話頂いたようなWebCTを用いた講義の取り組みの成果が、最終的に学生の単位取得に数字として明確に表れていることです!

第2回目のWebCTユーザー事例紹介は、広島大学大学院社会科学研究科の安武公一先生にインタビューをお願いしました。インタビューさせて頂いた日は、ちょうど武庫川女子大学にて“学習支援システムを利用した教育実践”というタイトルで講演され、ご自分の経験を紹介されていました。

さて、安武先生は、文学部史学科出身で大学院進学時に路線変更、現在は国際経済学を教えておられ、情報工学や電子工学とは全く無縁の道を歩いて来られた先生です。数年前、名古屋大学助教授&弊社CEOの梶田が、広島大学にて2回目の講演をした際に話を聞かれ、これが安武先生が WebCT と関わるようになられたきっかけとなりました。 当時先生は、通常のインターネットメールを使って講義資料用のテキストファイルの配信や熱心な学生に対する質疑応答を行っていらっしゃいましたが、これをもっとうまく、楽に行う方法はないものかと、少し悩んでいらっしゃいました。こんなときに出会ったのが WebCT だったわけです。

使ってみたいと思われたきっかけは、まず自分が楽になりたいということ。とは言っても講義の質を落とすのはなく、無駄な作業を減らすことによって自分が楽になる。実際、WebCTを導入された後、講義に関するルーティーンワークが格段に減ってきたとおっしゃいます。

では、どのように無駄を排除できたのか。まずは、無駄な印刷の排除。1999年度の国際経済学特講1にて、先生は時には10ページ程度の講義ノートを100名分以上(1000枚以上のコピーと、100回以上のホッチキス止め)用意され、それを配布されていました。それが非常に面倒!かつ講義に出席する生徒の数が読めないので資料を多めに準備する。すると、講義終了後は毎回余った資料でゴミの山。これでは地球にも優しくない!しかし、WecCTを使って講義前に資料をネットワーク上で公開・配信すれば、今まで必要だった印刷&ホッチキス&配布の手間はなくなります。先生は、資料の印刷を講義に出席する学生それぞれの自己判断に任せていらっしゃいますので、無駄な資料の印刷はなくなり、地球にも優しい!時間と資源の無駄を一度に解決というわけです。

しかし、安武先生の場合、このような資料の公開はWebCTを使うようになられた単なるきっかけでしかなく、その他にもWebCTを使った素晴らしい講義を行っていらっしゃいます。

先生が重視していらっしゃいますのが、メールとディスカッションボード(BBS)を利用した学生との質疑応答の活性化です。そして、なんと言っても素晴らしいのは、WebCTを使ったクイズ形式の小テストです。教育工学会や WebCT ユーザ会の研究会で先生が考案された小テストのやり方について発表されたたところ、新聞紙上で紹介されたり、他大学の先生の授業でこの方式が導入されるなど、ちょっとした反響がありました。以下でBBSと小テストについて詳しくお話します。

まず小テストについて。従来の小テストは、問題を印刷して、配布して、回収して、採点して、結果をエクセルに落としてやっと評価がでます。一方、WebCTを使った小テストでは、学生が回答を終了すると瞬時に結果まで分かります。これによって、小テストが毎回簡単に実施できるようになります。その結果、学生からは、“小テストはしんどいけど、理解が深まった”と非常に感謝されることが多いとのことでした。(学生の実際のアンケート結果は文末を参照下さい。)

次にBBS機能について。前回の名古屋大学の事例と共通しているのは、やはり、WebCTの導入により、ディスカッションで質問してくる学生は増えたということ。ただし、ここで注目して頂きたいのは、WebCT上でのディスカッションのみならず、実際に対面して質問に来る学生も増えたということです。WebCT上でのBBSに投稿するのは固定した常連さんで10名〜20名程度。投稿数は、なんと半期で1000通程にも上ります。それ以外の学生は蚊帳の外かと言えばそうではなく、WebCT上でのディスカッションを読んでいるだけの学生もいて、読んでいるだけで非常に役に立ったという意見も多いとのことです。

そして特筆すべきは、実際に質問にくる学生がWebCT導入の前後で、ほぼ∞にまで増えたといこと。というのも、安武先生は(自称)怖がられているため、以前は質問に来る学生の初期値が0。WebCT導入後は、BBSの内容についての不明点を授業後に質問にくる学生は確実に増えているということです(もともとが0、分母が0、なので効果は∞)。つまり、WebCT上のBBSを介してディスカッションすることにより、その内容について実際に質問に来る学生が生まれてくる。つまり、WebCTは従来の対面式講義を活性化するための補助ツールとして非常に有効に活用されているという非常に良いお手本だと思います。対面式講義の同期性と、ITを活用した講義時間以外の教育支援の非同期性を組み合わせたハイブリッド授業のまさに成功例です。(今更ですが、私が学生の時、もしこのような授業があったならば、きっと講義時間以外でも勉強したとは思いますね。。)やはり、先生に質問する敷居を低くしてくれるというのは非常にうれしいです。

そして、なんと言っても私が最も感心させられたのは、今までのお話頂いたようなWebCTを用いた講義の取り組みの成果が、最終的に学生の単位取得に数字として明確に表れていることです!これが素晴らしい!下記は2003年度前期「ミクロ経済学入門」の期末試験結果です。

表 1 学生の期末試験結果
評価項目 WebCT導入前(およその値) WebCT導入後
ドロップアウト率 30%以上 25%(48名/191名)
単位取得率 50%以下 62%(89名)
単位取得者の平均点 詳細データなし 74.4点
「優」の学生数 一桁台 24名

このように、ハイブリッド講義形態が、従来の対面講義形式に比べ学習者の主体的な学習意欲をより高めるものであり、かつその成果が上述のような客観的数値により十分評価できるならば、cost-benfit分析の点から見てもe-laerningを高等教育に導入する十分な理由が存在することになるとおっしゃいます。

最後にe-learningの今後の発展についてビジョンを語って頂きました。 大学の枠を超えたユーザー(先生と学生)のつながりが大学でも教育の在り方を変えていくとおっしゃいます。先生はCMSを対面授業を支えるものとして位置づけていらっしゃいます。これに関連して、MITでは、全ての講義内容をOpen Course Wareとして公開している(http://ocw.mit.edu/index.html)が、授業のコンテンツを公開してしまうことに不安は?とお尋ねしたところ、実際の講義で直接先生の話を聞くことが重要かつ意味のあることであって、コンテンツを公開することで対面講義が無意味になることはあり得ない。。むしろ、日本でも同じようにコンテンツがオープンになれば他の先生が使えるようになる。これが実現すればラッキーとのこと。このようなコンテンツを無償で公開する動きはWebCTユーザー会でも行われようとしています。 また、教育工学者や教育学者あるいはインストラクショナル・デザイナーなど専門家の方々のサポートが受けられるようになるととてもうれしい。自分は教育学や教育工学については素人なんだし、もっともっと研究者と授業担当者間の実際的な相互交流が生まれると非常によいとおっしゃっていました。

【ご参考】

学生へのアンケート結果

  • 正直言わせてもらうと、疲れました。自分は今までこれほどまでに勉強というものをしたことがなかったので、どっと疲れが出ました。ただ、。。。(中略)。。。この授業はとてもハードだけど、それよりも得るものが多かったように思います。自主性というものも自分は養われたように思います。
  • このWebCTで多くのクイズが出題されたので、結局他の講義よりも勉強できた。結果的には受けてよかったと思う。先生の講義はとても分かりやすかったです。
  • 最初はパソコンの使い方がわからなくて馴染めない講義だと思っていましたが、やっていくうちに使い方が少しずつですが、解ってゆき、WebCTが便利なシステムだと思うようになりました。特にクイズがあったおかけで、講義の中で何を注目すべきかということがわかりました。どこでもパソコンさえあれば利用できるWebCTというシステムを使用できたことは大変いい経験になったとおもいます。

EMIT Japan 小村

(2004年 7月)